遺言書について

私にはさしたる財産はありませんが遺言書を作るべきでしょうか?

相続人が単独でなければ作ることをおすすめします。相続人の負担軽減やいわゆる争族防止に役立つからです。故人の財産は相続人には分かりにくいものですが、財産目録付きの遺言書があれば相続人は大いに助かります。遺言書がなければ遺産分割協議をする必要がありますが、争族防止の観点等からは相続人に遺産分割協議をさせない方が望ましいです。

遺言書と遺書の違いは何ですか?

法的効力をもつ文書が遺言書です。厳格な要件が求められており、その要件に反していれば無効となります。例えば「何々財産を誰それに相続させる」は遺言書です。

法的効力が求められていない文書が遺書です。例えば「兄弟仲良くせよ」などの文面です。

遺言書は公正証書遺言にした方が良いでしょうか?

良いと思います。費用はかかりますが、後日のトラブルが回避できます。自筆証書遺言は真否が争われたり、保管が困難であったり、検認が必要であったり、要件不備で無効になったりするデメリットがあるからです。尚、令和2年7月10日以降は法務局で自筆証書の保管が可能です。この場合、検認は不要になります。

自筆証書遺言書にしたい場合は?

簡単な内容ならば自筆証書遺言書で良いでしょう。「全財産を誰それに相続させる。」程度です。この場合も行政書士に点検してもらうことをおすすめします。大した費用はかかりません。さらに複雑な内容の場合は当方に御相談下さい。文案作成からお手伝いします。

検認とは何ですか?

公正証書遺言以外の遺言書は、相続開始後に、家庭裁判所で遺言書の存在、内容、形状などを明確にする必要があります。後日の紛争に備えて、偽造、変造を防止し、遺言書の現状を保全する手続きです。検認期間は1~2か月かかります。

遺言書の保管者あるいは相続人は、相続開始を知った後に遅滞なく、相続開始地の家庭裁判所に遺言書検認の申立てをする必要があります。遺言書を発見したらまずは家裁か当方に電話をして下さい。

尚、遺言書は法務局で保管してもらえますが、この場合は、検認は不要です。

遺言書の内容と異なる遺産分割は可能ですか?

法定相続人全員の合意があれば可能です。

遺留分に配慮すべきですか?

遺留分には配慮した方が良いでしょう。遺留分を犯した遺言は無効とはなりません。相続人の納得が見込めるのなら1/2とか1/3にこだわる必要はないと思います。遺留分の詳しい説明は当方にお尋ね下さい。

 

尚、改正法で、「遺留分減殺請求権」は「遺留分侵害額請求権」と改められました。遺留分権利行使者は相続人や受遺者に対して侵害額に相当する「金銭」を請求することができるようになりました。金銭による請求ができることによって、不動産の共有を回避できるようになりました。

二次相続の指定が出来ますか?

自分の相続人の相続人に対しての指定は出来ません。この場合は家族信託を検討されるとよいでしょう。

書き損じた場合の修正方法は?

自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

というのが民法の規定です。結構面倒です。違背したら無効ということです。修正などせず、最初から新たに書き直すことをおすすめします。財産目録に限っては自筆である必要はありません。尚、財産目録は全ページに署名・押印が必要です。

遺言執行者の指定は必要ですか?

指定した方が良いです。
遺言執行者とは、被相続人の死後に遺言内容を実現する手続きのために遺言者に指定され、又は家庭裁判所により選任された者をいいます。

必要な場合があります。

・子の認知

・相続人の排除・排除の取り消し

です。

遺言執行者の仕事は、実務では名義変更や解約等の手続きをすることが多いです。指定した方がメリットが多いと思いますので、遺言書作成のおりに行政書士に御相談下さい。

 

尚、改正法で、遺言執行者の権利義務が明確になります。

「遺言の内容を実現するため、・・・一切の行為をする権利義務を有する」と定められました。執行者の権限義務は、遺言の内容実現かどうかが判断基準になります。「遺言者執行者は相続人の代理人」とした現行規定は削除されます。

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